人財力100

人財採用と育成に力を入れている企業を紹介

我が社の人財力

オー・エイ・エス株式会社 代表取締役社長 太田 義明
新卒入社からたたき上げの社長が導くIT企業

創業以来の社員重視経営がいまを勝ち抜く競争力の源泉に

オー・エイ・エス株式会社 代表取締役社長 太田 義明

会社設立から45年。浮き沈みの激しいIT業界で、オー・エイ・エスほど長期間にわたり、顧客の信頼をかちとり続けている企業はめずらしい。その裏には、創業からの伝統である社員を重視する経営を守り通し、新卒社員をイチから育成して経営幹部に登用する姿勢を貫いていることがある。自身も新卒エンジニアとしてオー・エイ・エスに入社し、たたき上げで同社の社長に就任した太田氏に、人財育成方法について聞いた。

青天のへきれきだった社長指名

-オー・エイ・エスは公共系や金融系を含む、難易度の高いシステム開発を手がけているそうですね。高度な技術力をもつ会社をどのように立ち上げたのか、起業の経緯を教えてください。
 いえいえ、じつは私は起業家ではないんです。1980年に新入社員として当社に入社したプロパー社員なんです。当社の設立は1974年なので、創業して6年目に入社したことになります。そこから中間管理職を経て、経営陣の一員となっていた2017年に、引退を決めた創業社長から後継者に指名され、社長となったのです。
-そうだったんですね。なぜ、太田さんに白羽の矢が立ったのですか。
 運とタイミングでしょう。社長なんて、なろうと思ってなれるものではありません。実際、先代社長から「覚悟はあるか」と社長職を打診されたときは、本当にびっくりしましたよ。自分のことを「技術者であり、経営者ではない」と思っていましたから。でも、立場はひとを育てるもの。おかげさまで社長業も板についてきたかもしれませんね(笑)。

 ひとつ、私が後継者に選ばれた理由として思い当たることがあるとすれば、“責任感”かもしれません。マネジメントに携わるようになってから、自分が担当していないプロジェクトについても、問題が起こったとき、私自身が出向いて解決した。そんなケースがなんどかありました。先代はそれをみて、私へ承継しようと考えたのかもしれませんね。
-プロパー社員が社長に就任するのは、IT企業ではめずらしいと思います。
 そうかもしれません。とくに意識してきたわけではないのですが、当社では新卒入社から中間管理職や役員に昇進したケースが多い。中途入社者のほうが、若干ですが定着率が低いんです。前職でのやり方を変えて、当社の組織風土にあわせるのに苦労する人が、けっこういます。

新入社員ひとりに先輩1名がついてOJT指導

-どんな組織風土があるのでしょう。
「上司と部下」、あるいは「技術と営業」といった壁を超えて風通しがよく、なんでもいいあえる雰囲気があります。たとえば、会社から離れて共通の趣味に一緒に取り組むクラブ活動が充実しています。そのほかにも交流会やイベント、社員旅行など従業員どうしが自然と触れあうことができる場がたくさんあります。一匹狼タイプで、よりよい待遇を求めて会社を渡り歩くような人には、向かない環境でしょう。

 もっとも、経営者としては、それでいいと思っているわけではありません。優秀な人財が定着してくれるように、たとえば「最先端技術をあつかえるプロジェクトを受注する」といったことを、つねに努力しています。
-社員を重視する経営をしているわけですね。そうした組織風土を醸成するための工夫を教えてください。
 従業員教育にチカラを入れています。文系学部出身者をエンジニアとして採用するケースもあり、ゼロから教えて育成します。新卒で入社して最初の半年間は、座学で体系的に知識を学んでもらう。そして、後半の半年間は現場に見習いとして配属されてOJTで業務知識を身につけていってもらいます。このとき、新人1名にひとり、もしくはふたりの先輩社員がついて、手取り足取り指導しているんです。教育担当の先輩がいることで、新人はわからないことがあったり、迷うことがあったら、すぐに質問できる。だから成長スピードが非常に速くなるんです。

 私自身が入社したときも、いまのように制度化されてはいなかったものの、当社の充実した教育の仕組みのおかげで早く成長することができたと思います。なにしろ、私が入社した1980年当時は、Windowsもまだ世に出ていないITの黎明期。「今後はコンピュータの時代が来る。先進的でかっこいい」という想いだけでエンジニアをめざしたんです(笑)。学生時代に受けたプログラミング講義の先生が当社の創業メンバーだったことがきっかけで当社に就職。それほどエンジニアとしての知識やスキルがない新入社員でした。しかし、先輩社員の指導のおかげもあり、最初に携わった業務を完遂。自分がつくったプログラムが実際の業務で使われ、役立って感謝された――。あの感動は死ぬまで忘れないでしょうね。
-会社の支援を背に、活躍している若手人財の例をシェアしてください。
 海外ベンダーが発行する情報セキュリティ関連の資格を、自腹を切って取得したエンジニアがいます。取得へのプロセスで研修期間があり、50万円ぐらいの費用がかかった。その意欲の高さを認めて、費用の大半をカバーできる一時金を出しました。

 また、理系出身の若手エンジニアで、入社3年目に自社開発のコールセンター向けシステムについて、機能の一部分を完全にひとりでつくりあげる成果を出した男性がいます。それから、文系出身の女性エンジニアの例。入社2年目にお客さまのプロジェクトに出て、コミュニケーション能力を発揮。お客さまの求めていることを直接的にいわれなくても察知し、行動することが高く評価されています。

自社プロダクト事業を強化していく

-社員重視の経営で育成した人財パワーが、いまのIT業界を勝ち抜くための競争力の源泉になっているのですね。では最後に、将来のビジョンを聞かせてください。
 自社製品事業を拡大していきます。当社では、受託開発事業とコールセンター向けの自社製品事業を2本柱に事業を展開。現時点では、両者の比率は受託開発事業の割合が8割強であるのに対し、自社製品事業は2割弱です。IT業界をおそう深刻な人手不足を背景に、受託開発の受注が絶好調だからです。むしろ、人材が不足しているので案件はあるのに受注できず、機会損失が発生するほど。

 しかし、こんな状況は長く続かないとみています。クラウド型サービスが普及し、ITシステムは「つくる」より「使う」にシフトしていくからです。受託開発の発注件数は今後減少すると考えています。だからこそ、自社製品事業を強化したい。すでにオンプレミス型の製品パッケージだけではなく、SaaS型のクラウドサービスも開始しています。社員の能力を最大限に発揮し、いままでにない製品やサービスを世に出し、影響力の大きい会社になっていきたいですね。
太田 義明(おおた よしあき)プロフィール
大学卒業後の1980年、オー・エイ・エス株式会社に入社。プログラマーからキャリアをスタートし、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーと昇格。社内のマネジメントにも携わるように。その後、2017年に代表取締役社長に就任。社員重視のよき経営を守る一方で、働き方改革をはじめ時代にあわせた変革を推進している。

企業データ

設立 1974年5月
資本金 1億円
売上高 24億8,000万円(2018年10月期)
従業員数 224名(2018年10月現在)
事業内容 ソフトウェア・Webシステム開発、システムインテグレーション
URL https://www.oas.co.jp/

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オー・エイ・エス株式会社

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