人財力100

人財採用と育成に力を入れている企業を紹介

我が社の人財力

株式会社アプメス 代表取締役社長 小早川 大典
お笑い芸人からベンチャー経営者へ転身

社員が才能を伸ばせる環境をつくる。それが社長の仕事です

株式会社アプメス 代表取締役社長 小早川 大典

エンジニアリング会社として1996年に設立。それ以来、セールスプロモーションや家事代行など業容を拡大。東京から、名古屋、大阪、札幌と拠点をかまえ、事業エリアも拡大している。この成長の指揮をとっているのが同社代表の小早川氏。じつは、元・お笑い芸人というめずらしい経歴の持ち主だ。ステージの上から観客を楽しませようとしていた同氏は、いまや経営者として社員が楽しんで仕事をできる環境をつくろうとしている。独自の人財育成術について小早川氏に聞いた。

会社は社員がチャンスを活かす場所

-アプメスは20年以上にわたり企業成長を続けています。その裏にある、人財育成の工夫を教えてください。
「まかせる」ことを徹底しています。たとえば当社専務の36歳の男性。23歳のときに入社してきました。当時、ぼくはまだ社長ではなく、ひとつの部門の責任者を務めていました。彼の入社から3ヵ月後、当時のぼくが抱えていた仕事を全部まかせました。その期待にこたえ、30代で部長になり、いまは経営陣の一翼をにない、社長としてのぼくの右腕以上の存在になっています。

 彼が幹部メンバーになってからも、「まかせる」ことは継続しています。たとえば、2016年9月に札幌支店を立ち上げたとき、「札幌に拠点をかまえる」というアイデアからオフィスの選定、メンバーの採用や異動、開設後の運営まで、すべて彼にまかせましたよ。ぼくが初めて札幌支店のオフィスに出向いたのは、開設したあとでしたから(笑)。
-えっ。しかし、名古屋や大阪ならいざしらず、北海道は進出リスクが高いのではありませんか。
 でも、まかせるんです(笑)。ぼくも最初にアイデアを聞いたときは、「うーん、札幌かあ」と。「しかし、彼がやりたいというのだから、やらせよう」。それがぼくのスタイルです。会社とは、「働いているみんながチャンスを活かしていく場所」。その環境を整えるのが、ぼくの役目です。だから、いつも「自分の人生を、精神的にも経済的にも豊かにするために会社を利用しなさい」と社員にいっています。

 専務の彼がいい例です。当社に入る前、前職の会社ではデスクを与えられず、ノートパソコンひとつ渡されて、オフィスの隣の倉庫で仕事をしていたそうです。前の会社で与えられなかった環境を彼に与えたら、才能が一気に花開いた。当社という場で、チャンスを活かしたひとりです。

まかせることで社員が成長する

-仕事をまかせて、人財が育った例はほかにありますか。
 それでは、中途で採用した当時、27歳だった社員の話をしましょう。セールスプロモーション部門の営業として入ってもらった。ところが3ヵ月ほどたったとき、システム開発の仕事をとってきました。それで「社長、システムを販売する部門をつくりたいのですが」と言い出した。「では、君が責任者になってやってみたらいい」とゴーサインを出しました。現在、彼は31歳になり、その部門だけで年間6億円の売上を上げるようになっています。
-経験の少ない人財に仕事をまかせると失敗するリスクがあると思います。
 裏ではちゃんと手を回していますよ。社員には見えないように。取引先に「こんどそちらへ行く社員は未経験なので、失礼があるかもしれませんが、私が最終的に責任をもちますので、よろしくお願いします」と話を通しておくとか。たとえるなら、3歳くらいの子どもがすべり台にのぼろうとしているとき、万一落ちても大丈夫なように、お父さんはそっと後ろで手をのばしていますよね。あんな感じです。子どもにはお父さんの姿は見えない。自分でのぼることができたとき、大きな自信になるわけです。
-部下にまかせて、社長はそっと手を差しのべている。
 そうですね。こういう話をすると、すごく“いい社長”のように思われるかもしれませんね(笑)。でも、社員が成長すれば組織が成長して会社が成長する。そのなかで「社長!」ともち上げられて、結果、ニヤニヤしながら、よい思いをさせてもらっているぼくがいますからね(笑)。中小企業でよくあるケースとして、代表ばかりが前に出て、代表ばかりが仕事をとってきて、代表のひとことでなんでも変わってしまう。そんな個人商店だけにはしたくない。社長がいなくても機能する組織にするには、社員に仕事をまかせて成長してもらうのがいちばんの早道だろうと考えています。

ダウンタウンに圧倒され夢破れる

-小早川さんが独自の人財育成術にたどりつくまでのいきさつを教えてください。
 もともと、お笑い芸人になる夢を追いかけていました。お笑いタレント養成学校で出会った相方と組んで。でも、芸人の仕事でかせげるのは月に1万円程度。生活費は派遣のバイトでかせいでいたんです。携帯電話の販売スタッフとして、家電量販店さんや携帯ショップさんで売ったりしていましたね。「しゃべりがうまい」ということで成績はよく、「小早川君に来てほしい」とお店からご指名を受けたこともありました(笑)。その後、派遣社員としての経歴が10年超にもなると、外で働くより、スタッフの研修や採用面接といった、派遣会社の内部スタッフとしての仕事がメインに。その実務経験がいまに活かされているのは確かですね。

 やがて、お笑い芸人として、地上波キー局の番組に出演させていただくチャンスをもらったんです。でも、いざ出てみると、ダウンタウンさんが司会。もう圧倒的な差を見せつけられた。高校球児がいきなりメジャーリーガーを見たような感じですね。「とてもかなわない」と。収録が終わったとき、相方も同じ想いだったようで「解散しよう」という話に。きっぱりあきらめました。
-夢をかなえるビッグチャンスのはずが、夢をあきらめるきっかけになってしまったのですね。
 ええ。「さて、それではなにをしようかな」と思案しました。そんなとき、知人から「アプメスという派遣会社でセールスプロモーション事業部を立ち上げるから来ないか」と誘われたんです。派遣会社なら知識・経験がある。そこで入社したわけです。

 ところが、それから2ヵ月たったころ、その知人が出社しなくなってしまったのです。衝撃的でしたね。当時のぼくは、メールは打てない、請求書の書き方も知らない。それなのに、事業部をひとりで切り盛りしないといけない。もうしょうがないから、クライアントに請求書の書き方を聞いたこともありました。先方は驚いていましたが、請求書の様式をつくってくれて、「ここにハンコを押してもっておいで」と。文字通り、お客さまに育てていただいたわけです。

大きくすることより続けることが大事

-そうした努力が実を結び、2010年に創業者のあとをうけ、アプメスの代表取締役社長に就任。こんどは経営者の道を歩むことになったわけですね。ひとつ、教えてください。お笑いの世界ではダウンタウンという圧倒的な存在に「負けた」とあきらめた。経営者の世界にも、たとえばジャック・ウェルチや孫正義のような、圧倒的といえる存在がいます。「負けた。あきらめよう」とは思わないのでしょうか。
 思わないですね。会社の規模だけをみたら、大企業の社長さんに負けているのかもしれません。でも、ぼくは、会社経営は「大きくすることより、継続することが大事だ」と思っています。継続する組織にするために、社員一人ひとりが活躍し、才能を伸ばせる環境をつくる。それができている限り、どんな有名な経営者さんにだって負けてはいないんです。

 いまでは「組織として成長できる会社だ」という自信がついたので、新卒採用を開始しました。最低でも「今後、40年間は会社が継続して利益を確保し、定年退職までしっかり給与を支払い続けられる」という自信ができたんです。
-なるほど。不特定多数のお客さんを楽しませる道はあきらめたけれど、いまは、目の前にいる社員たちを楽しませる道を歩んでいるのかもしれませんね。では最後に、今後のビジョンを聞かせてください。
 働いている社員たちが活躍できる環境を、さらにつくっていきたいと思っています。たとえば、うちの会社は女性社員が多い。そこで、出産して育児しながらでも働けるように、会社の一角に保育ルームを併設したい。「赤ちゃんが泣いてるから、仕事の手を休めて抱っこしてあげて」といった会話が自然にできるイメージです。社員一人ひとりの人生が輝くような環境を整えていきたいですね。
小早川 大典(こばやかわ だいすけ)プロフィール
1974年生まれ。駿河台大学経済学部を中退後、お笑い芸人として修業を積む。そのかたわら、派遣会社のスタッフとして携帯電話の販売業務などに従事。2005年、株式会社アプメスに入社。セールスプロモーション事業部を立ち上げ、3年後には事業部の売上高4億円を達成。2010年、同社の代表取締役社長に就任。社員がやりたい仕事をできるよう社内環境を整えると同時に、多くのチャンスを社員に与えている。直近の売上高は32億円に達し、「2020年に売上髙50億円」を目標に、組織の強化にまい進している。

企業データ

設立 1996年8月
資本金 3,000万円
売上高 32億円(2018年2月期)
従業員数 170名(2018年10月現在)
事業内容 人財派遣事業、セールスプロモーション事業、コンテンツプロバイダー事業、コンシュマーサービス事業
URL https://www.apms-japan.net/

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